定点観測
卒業後はどこも朝がゆっくりで、
10時とか10時半とか、一日はのんびり始まる。
そして、まだ陽の高いうちに帰ってくる。
母は、
8時から映画みるとか、
9時から病院行くとか、
検査長引いたら夕方だったとか、
夕焼け見にお散歩しようとか、
そういうのは、なしになる。
そういうのは、期間限定だった。
思えば、ほんとうは、
なんでも期間限定だった。
興味とか、
情熱とか、
恋する気持ちとか、
赤ちゃんのときのふわふわとか、
健常児で走りまわれた時間とか、
10代の時間も、
20代の時間も、
30代の時間も、
80年代も、
90年代も、
21世紀も。
生きてる時間も。
その期間にいるときは、
期間限定だなんて思わないから、
それが当たり前だと思っちゃうから、
なんとなく過ぎていく。
失ってから、時が過ぎてから、
後悔したりして。
まあ、
失うから気付くのか。
昨日読んだ話題の小説は、
きっとそんなことの断片だったんだと思う。
誰にも、
期間限定だからこその物語はあって、
それをどう語れるか、だ。
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