さざなみのよる
ドラマのナスミは、
笑子さんにだけ見えるユーレイだ。
さざなみのよるの物語は、
ナスミが死ぬところから始まる。
四十代で、がんだった。
「死ぬっていわれてもなぁ」って、
ナスミは思う。
もともと人間なんて 、
思い通りになんてならないのに 。
それがわかったのは病気になってからだ 。
あの頃の自分に教えてやりたい 。
あんたは 、自分で考えていたのより
百倍幸せだったんだよって 。
朝 、目が覚めると 、少しがっかりする 。
なんだまだ死んでないじゃん 、と 。
そうか 、今日も一日生きるのかと思う 。
そのことに 、ほっとする時期もあったのに 、
最近は本当に体が辛いので 、
なんだ 、まだ死ねないのかよと 、
がっかりしてしまう 。
引用しすぎちゃったけど、
死にゆく人のリアルだ。
そして、鷹子との、
子供の頃のケンカを思い出しながら、
井戸に石を落として死んでゆく。
ぽちゃん、って。
落とした石は、
静かなさざなみを作って、
家族や友人、
それにつながる人たちへ届いていく。
過去にも、
未来にも。
覚えているあいだは生きてる、って、
こういうことか。
木皿泉、やっぱりすごいな。
この世界観。
これもドラマ化して欲しい。
お願い、NHKさん。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 青い家にきた人(2025.08.26)
- 春菊よ谷のせせらぎよありがとう(2025.08.11)
- 映画を見たので原作を読んだ(2025.07.19)
- さみしい夜のページをめくれ(2025.04.25)
- 山と渓谷5月号 聖地上高地へ(2025.04.17)












