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慰め

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土曜日に、
長野からの帰りの車で体調が悪くなって、

まぁ、
首都高のぐるぐるで酔ったのだが、

帰ってから、
買ってきた栗おこわとインスタントの味噌汁で

ちゃむに夕食を食べさせて、
先に寝た。


朝までぐっすり寝ていたあいだに、
長い夢を見た。

夢はよくみるけれど、
いつもすぐに忘れてしまうのに、

数日経ってもはっきりと覚えているので、
書いて残しておく。


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白い壁の広い空間で、
イベントホールのような場所。

たくさんのワゴンが並んでいる。

小さなお店もあって、
即席の商店街のような雰囲気。

ほぼ日の生活のたのしみ展、みたいな。

そこでスタッフをしている。

おそろいのエプロンをして。

初日を迎えて緊張しつつ、
持ち場の確認をする。

見たことのある先輩がいて、
心強く思う。

その先輩は、
てきぱきとワゴンに商品を並べている。

ほかのスタッフにも指示を出しているけど、
あたしの仕事はない。

手が出せない。
どうやって手伝っていいのかわからない。

担当一覧のような紙をみつけて、
確認したら、

ほかにも担当の場所があった。
ブッキング?と思うが、行ってみることにする。

ホールの外へ出て、その場所へ向かう。

外は、公園のようなつくりになっていて、
緩やかな斜面に緩やかな階段がある。

その階段に沿って、
小さな建物がいくつか建っている。

登っていくと、また大きな建物があって、
白い建物で、なかにいくつかお店がある。

そのひとつが、担当のお店らしく、
なかに入ってみる。

別のスタッフが、もう準備を始めていて、
遅れてすみませんとあやまる。

お店の主人は、
女優の草笛光子さんみたいな人。

セレクトショップっぽい。
リネンのような素材の商品が並ぶ。

シンプルで洗練された雰囲気。

ただ、お客が来ない。

私の店はいつもこんな感じなのよと、
店の主人は言う。

しばらくして、休憩時間になる。

店の主人は、お店を閉めて、
みんなでお茶をしにいこうと提案する。

外へ出たら、
青空で気持ちいい風が吹いている。

スタッフなのに、何もできていない。
ここにいるだけ。ただいただけ。

きっとこの先も何もできない。

やっぱりどこにも居場所がない気分で、
いつものように無力感だけ持って、

とりあえずみんなについて歩き出すと、

草笛光子さんみたいな店の主人が、
あたしの肩に手を添えて言う。


あなた、
よくがんばってるじゃない。


肩に添えられた手の感触に、
覚えがあった。

ただ、慰められたかったのだと気づく。


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旅行中、志賀高原蓮池の山の駅で、
ランチをしていたら、

お客で来ている、
見知らぬ婦人に声をかけられた。

ちゃむの言葉のことを聞かれた。

本人は言葉を理解しているのか、とか、
本人の言葉は親にはわかるのか、とか。

そして、あたしの肩に手を置いて、

お気の毒に、だったか、
残念ですね、だったか、

夢のことははっきりと覚えているのに、
現実の記憶はすぐに曖昧になってしまうのだけれど、

なんだかそんなようなことを言われた。


見えているもの。
見えていないもの。

その手がずっしり、肩に重かった。


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