クリスマスイブになった
何者でもない自分と向き合いながら、
ぼんやりしていたら、
日付が変わって、
クリスマスイブになった。
今年はダイニングの窓と、
リビングの窓にイルミネーションをつけた。
大きなクリスマスツリーも新調して、
トーマスがいつもいたところに飾った。
部屋のあかりをつけているときには、
光っているのがわかりにくい。
こうして夜中、
照明を落としてみると、
なかなかきれいに光っている。
誰かのための光ではない。
自分のために光らせたのだ。
ザッハトルテを買ったのに、
タルトタタンを焼いてしまった。
きっとたいして喜ばれもしない。
誰かのためのケーキではない。
自分のために作ったのだ。
たくさん食べたいわけじゃない。
ただ作りたかったから作っただけのこと。
喜んでもらおうと思ってしたことは、
たいてい裏目に出る。
一度だけ、クリスマスイブに、
丸鶏を焼いたことがある。
前日から塩水につけて、
ハーブとバターをよく練って塗りつけて、
じっくり時間をかけてオーブンで焼いた。
ローストチキンは、
こんがりときれいに焼けていた。
美味しいと思ったんだけどなー。
いっしょにテーブルを囲んだ人にとっては、
そうじゃなかったらしい。
ほとんどが残って、
数日をかけて、ほとんどをひとりで食べた。
美味しかったはずのチキンは、
次第に味がしなくなっていった。
それは、クリスマスらしい食卓の、
画にこだわっただけだったのかもしれない。
クリスマスがやってくるたびに、
ローストチキンを思い出す。
また焼いてみたいなー、と思うけど、
やめておこう、とも思う。
痛い記憶。
そんな出来事は、
ローストチキンに限らない。
たいていのことは、
そんな感じだ。
自分のためにやって、
ついでに誰かが喜んだら、
ついでに、よかった、が、
付いてきたと思おう。
メリークリスマスイブ。
あしたはきっと、いい日。
だといいなー。
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