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海をあげる

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Eテレのお正月の特番で、
100分deフェミニスト、という番組があった。

女性学の第一人者だけど、
上野先生のしゃべりがちょっと苦手なので、

見ようかどうしようか迷ってて、
いちおうのつもりで録画しておいたら、

これがとってもよかった。


出演者のひとりが、
「海をあげる」の著者、

琉球大学の教育学の教授、
上間陽子さんだった。


「海をあげる」は、
本屋大賞のノンフィクション部門を受賞している。

タイトルが気になって、
たしか本屋でパラパラみて、

あー、これはしんどいやつだわ、
って、読むのをやめていた本だった。

で、これも出会いだと思って、
Kindleでさっくり読んだ。


上間さん、生まれ年が一年違いなんだけど、
まだ幼い娘さんがいるらしい。

「海をあげる」は、
沖縄で暮らす、母と子のエッセイだった。


ただ、
その沖縄は、

観光客が見る、
海きれいねー、なんて視点ではなく、

普天間の騒音と、
基地による水質汚染と、

辺野古の埋め立てと、
反対派の座り込み。


戦後の沖縄の影響をいまだに引きずる、
10代の女性の妊娠出産問題に力を入れていて、

行政が動くのを待っていられないからと、
若い妊婦さんを支援する施設を運営しているそうだ。


ひたすらに、
負の連鎖のなかにいて、

離れても、
また自ら飛び込んでいく。


すごいねー、
えらいねー、
大変だねー、

なんて感想よりも、

登場する人すべての、
痛みが際立つ。


沖縄、
楽しんじゃいけないんだな。


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